催奇性をもつ物質が人体に取り込まれた場合、
胎児に奇形を生じる危険があるため食品や医薬品の催奇性については重大な注意が払われている。しかし、
1957年に発売された睡眠薬
サリドマイドの催奇性は数千人とも言われる奇形児を産み出すこととなった。当時一般に用いられていた実験動物の
マウスや
ラットでは催奇性が見られず、
ウサギを用いた試験で初めて危険性が明らかになったのである。この悲劇を教訓として催奇性の評価はさらに厳密に行われることとなった。
ベトナム戦争で
米軍の使用した
枯葉剤は
ベトナムの散布地域住民および退役軍人とその子供に健康被害をもたらしたといわれている。このときの催奇性の原因として、枯葉剤に含まれていた
ダイオキシンとの関連が示唆されている。ダイオキシンは動物実験で奇形を起こすことが確認されている。ダイオキシンの曝露事例のうち
セベソ事故では、女児の出生率増加、家畜の大量死、癌発生率の増加、奇形出産率の増加などが報告された。
[ ] [農林水産省] [Bruna De Marchi ,Jerome R.Ravetz, "Risk management and governance : a post-normal science approach", Futures, vol.31, (1999), pp.743-757.)] セベソでは事故翌年4〜6月の妊婦の流産率は34%となった。
[JST 科学技術振興機構 ]